会長挨拶

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草野篤子 白梅学園大学教授

2009年7月5日に、東京の新高輪で日本世代間交流学会第1回設立準備会が行われて以来、数々の準備会を経て2010年6月、日本世代間交流学会が設立された。

今日、少子高齢化が急速に進んでいる。2007年からは、いわゆる団塊の世代が定年を迎え、家庭や地域で過ごす時間が大幅に増加している。第二次世界大戦直後の1947年から1949年の間に生まれたこの世代は約700万人を越え、その前後に生まれた人々を含めれば1100万人にのぼる。この団塊の世代が年金、医療、介護の制度を破綻させる危惧があることを懸念している者がある。しかし、そのような否定的な見方は、日本社会が高齢化から得られる肯定的な側面を覆い隠してしまう。重要なのは、高齢者が地域に積極的に関わり、子どもや若者、中年世代の生活に有意義な貢献をするため、どの程度十分な機会があるのかという点であろう。増え続ける高齢者が社会の向上に貢献する方法を考える際、日本で今、世代間交流活動が盛んになりつつあることは心強いことである。「世代間交流プログラム」とは、国際世代間交流協会(ICIP)によると、「高齢者と若者の間における意図的で継続的な資源の交換と相互学習」のことである。これには、学校、保育園・幼稚園、地域社会、施設、病院などをはじめ、さまざまな場で見られるプログラムや実践が含まれる。世代間交流を目指すプログラムや方策が、高齢者福祉と子育ての両方のニーズへの対応、教育制度の補強、高齢者の生活の質の向上、祖父母と孫との関係の改善、文化遺産に対する人々の意識の向上、地域の支援体制の強化を促す有効な手段となるのである。

世代をつなぎ地域を再生するために、関連する社会問題への対応とすべての世代の生活全般の質の向上のために、幅広い世代間交流プログラムが国内外で実施されていることは、心から喜ばしいことである。また、日本では非常に革新的かつ精力的な世代間交流プログラムが実施されており、生涯を通じて人々を支え、地域を力づけ、長年大切にされてきた文化的伝統を守るために寄与していることが明らかになってきている。

先の日本世代間交流学会第一回全国大会は多くの団体からご協賛・ご後援をいただいた。その中には、省庁、地方自治体、教育・研究機関、多種多様な非営利団体も含まれている。また、教育関係者、福祉関係者、地域での実践者、保健・医療専門家など、あらゆる分野から、世代間交流に関するそれぞれの経験や知見が発表された。本大会をきっかけにして、世代間交流の学習や実践をさらに推進し、他に類を見ない世代と世代を結ぶ全国的な場となることが望まれる。世代間交流は、日本だけでなく、全世界に広かっている。本学会が、コミュニケーションを促し、できれば新たなパートナーシップをうみだす学会となることを、願ってやまない。